現在、急速なスピ−ドで少子化と高齢化が進行しています。
これにともなって年々深刻になる介護の問題を社会全体で解決するために、介護保険は2000年にスタートしました。
介護保険における 保険者は、市町村です。そして、40歳以上の国民は全て強制的に介護保険に加入し、被保険者となります。
市町村は、被保険者から保険料を徴収して事業を運営し、介護が必要となった被保険者が介護サービスを利用した場合に保険給付をします。
被保険者は年齢によって次のように2種類に分けられます。
第1号被保険者 | 市町村内に住所をもつ65歳以上の者 |
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第2号被保険者 | 市町村内に住所をもつ40歳以上65歳未満の医療保険加入者 |
第1号被保険者は、住所地の市町村に保険料を納め、介護が必要になった場合には、介護サービスを利用できます。
これに対して、第2号被保険者が介護サービスを利用できるのは、介護が必要となった原因が、老化との間に医学的関係が認められる
「特定疾病」による場合だけです。
介護サービスは、大まかに区分して3つの区分となります。
- @居宅サービス
- A地域密着型サービス
- B施設サービス
また、介護度が要支援レベルの利用者向けの介護予防サービス、、地域密着型介護予防サービスなどがあります。
一般的にイメージしやすい身体介護や入浴の介助、リハビリなどは、居宅サービスや施設サービス、介護予防サービスなどをさしますが、介護保険の大きな特徴は、居宅介護支援サービス(ケアマネジメント)のシステムを導入したことだと言われています。
これから介護事業に参入をしようと考える方は、この3区分のうちの、どの領域の事業をめざすのかが最初に問われることになります。
一般的には、ディサービスや訪問介護などの@居宅サービスに参入するケースが多いと言われています。
経営者の資産力、保有する資格や能力、事業への関心度合い、地域のサービスへのニーズの内容によって参入の仕方は多様な方向性があります。
介護保険のサービスを提供する事業をはじめるには、サービスの種類や、サービスの事業所ごとに都道府県知事又は市町村長の指定事業者としての指定を受ける必要があります。
介護事業は、
- 1)日本社会の高齢化に伴って、最も安定的に市場が拡大する事業です。
- 2)顧客から感謝され働きがいが体感出来る事業です。
- 3)職員教育を体系的に取り組むことによって、職員成長が期待出来る仕事です。
- 4)介護報酬の請求が正しければ確実に振り込まれます。他の業界のように値引きや手形で支払われることはありません。
介護職員は、「命令されて動く」ロボットではありません。また、医療のように医師のトップダウンによって動くものでもありません。
介護事業は、顧客の日常生活の質を高めると言う意味でも、顧客の日常生活に寄り添いながら、顧客の状態をふまえて職員の自主性が求められるサービスです。
それだけに経営者が介護事業について、どのような思いを持っているか、どのようなサービスを実現したいのかについて、しっかりと職員に語り話しあい、自主的な職員育成をめざす必要があります。
介護事業者の指定を受けるための要件は、提供する介護サービス事業ごとに異なりますが、おおまかには@法人であること、A人員基準、B運営基準などを満たすことです。
要件をすべてみたし、指定を受けたあとも上の要件は守ることが要求されます。
仮に指定事業者が人員基準や運営基準を満たさなくなったときや、不正請求をしたときなどは、指定を取り消されることがあります。
- 【要件1. 原則として事業者が法人であること】
- 法人格をもっていない方が介護事業をはじめるには、まず法人を設立して、その後、介護事業者指定申請をおこなうことになります。
医療法人、社会福祉法人、株式会社、有限会社、合同会社であれば介護事業に参入することができます。また、NPO法人を設立して介護事業に参入することもできます。
会社設立についての詳細はこちら - 【要件2. 人員基準をみたしていること】
- はじめようとする介護サービス事業によって異なりますが、サービスの種類毎に、必要な有資格者、管理者、責任者等の基準が定められています。定められている必要な人数以上を配置しなければなりません。
- 【要件3. 運営基準・設備基準・施設基準にしたがって適正な運営ができること】
- これも介護サービス事業の種類によって異なりますが、必要な諸室・備品・設備等の基準があります。この、定められた運営基準にしたがって運営をすることが求められます。
多くの介護事業者が「身内の介護体験」を経て、「良い介護を実現したい」との思いを持って事業を立ち上げるなどの経過があります。
しかし、自らの思いが有っても、なかなか職員にその思いが伝わらないことが散見されます。
事業として立ち上げたつもりでも、実際は良い介護の「作業」をするために開業する場合が多いのです。
介護事業を立ち上げた理想や目的、中期的なビジョン、中期計画をふまえた単年度計画などを具体的に職員に明示する総合性と計画性が必要なのです。
「良い人間関係の職員集団は、良い介護が出来る」「良い介護が出来る良い職員集団は、良い人間関係である」と言えます。
募集、採用、配置、昇進、昇給、退職までの一連の雇用管理において、大切なポイントは「就業規則」に基づく公平公正な雇用管理の実施です。
就業規則を公開し、就業規則に基づいて運営することが大切です。そのためにも、公開し運用出来、企業を守る就業規則を作成しておく必要があります。
「良い人間関係の職員集団は、良い介護が出来る」のですが、そのためには、集団の力を余すところなく発揮するための「情報によるマネジメント」は大切です。
経営者から率先して「報連相」を徹底することが大切です。
報連相によって、(1)事実情報の伝達、(2)意味の伝達、(3)共感の伝達を追求し、職員集団全体が生き生きと行動することを追求することができます。
報連相の理論と実践が大切です。
私どもは、社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナーによって介護事業へのワンストップでの参入・経営・労務サポートを提供しています。
- ●経営者の介護事業への思いをこめた経営理念を元に会社設立手続(株式会社、合同会社等)をおこないます。
- ●事業参入に必要な人的要件や設備要件を明確にし、許可の申請から更新の対応をおこないます。
- ●経営理念をふまえた職員の募集、採用を実施するとともに、入社後の労務手続、労務管理、助成金申請、就業規則作成、給与計算等をおこないます。
- ●その他、必要な許認可申請、事業計画と会計処理、人事労務の全体にわたってサポートをします。